退職後にもらえるお金は「申請しないともらえない」
会社を辞めると、給料が止まる一方で住民税や社会保険料の請求は続きます。しかし退職した人には、国や雇用保険・健康保険から複数の給付金やお金を受け取る権利が生まれます。問題は、これらが自分で申請しないと1円ももらえないこと。制度を知らずに数十万〜数百万円を取りこぼす人が後を絶ちません。
退職した人が受け取れるお金の目安(合計)
このページでは、退職後にもらえるお金を全種類一覧で整理し、「いくらもらえるか」「誰がもらえるか」「どこに申請するか」をまとめました。多くは退職の翌日から1年以内など期限があり、過ぎると権利が消滅します。まずは自分が何をもらえるかを把握しましょう。
目次
退職理由別にもらえるお金 早見表
退職後にもらえるお金は、退職理由によって金額も受給開始時期も大きく変わります。特に失業保険は「会社都合」か「自己都合」かで給付日数・給付制限・国保軽減の有無まで変わるため、まず自分のケースを確認しましょう。
| 退職理由 | もらえる主なお金 | ポイント |
|---|---|---|
| 会社都合 (解雇・倒産・雇止め) | 失業保険・再就職手当・国保7割軽減 ほか | 給付制限なしですぐ受給開始。日数も最大330日と手厚い。→ 会社都合退職のお金 |
| 自己都合 (転職・結婚など) | 失業保険・再就職手当・教育訓練給付金 ほか | 給付制限は2025年4月以降「1ヶ月」に短縮。→ 自己都合退職のお金 |
| 病気・ケガ ・メンタル不調 | 傷病手当金・失業保険(受給期間延長)ほか | 働けない間は傷病手当金が最長1年6ヶ月。→ 傷病手当金ガイド |
| 育児・介護 | 育児休業給付金・介護休業給付金 ほか | 退職せず休業給付を受ける選択肢も。→ 育児・介護の給付金 |
| 定年退職 | 退職金・失業保険(高年齢求職者給付)・年金 | 65歳以上は一時金タイプの給付に切り替わる。 |
① 失業保険(基本手当)
退職後の生活を支える代表的な給付金です。退職後にハローワークで求職の申し込みをすると、再就職までの間の生活費として支給されます。雇用保険に加入していた人なら原則として誰でも対象になります。
もらえる金額
前職の月収の50〜80%が目安。月収30万円なら月15〜24万円程度。
もらえる期間
年齢・勤続年数・退職理由によって変動。会社都合は最大330日。
| 退職理由 | 給付制限 | 受給開始 | 最大日数 |
|---|---|---|---|
| 自己都合(転職など) | 1ヶ月 | 約2ヶ月後 | 150日 |
| 会社都合(解雇・倒産) | なし | 約1ヶ月後 | 330日 |
→ 詳しくは 失業保険(雇用保険)完全ガイド / 受給資格のチェック / 給付額シミュレーター / いつからもらえる?
② 再就職手当(早く再就職すると一括でもらえる)
失業保険の受給中に早く再就職が決まると、残りの給付日数に応じて一括でお金が受け取れます。「早く働き始めると失業保険が損になる」と思われがちですが、その分を埋め合わせる制度です。早く決まるほど受取額が増えます。
もらえる金額
給付日数の3分の2以上残っていれば70%、3分の1以上なら60%を一括受給。
計算例
日額6,000円×残90日×70%=約378,000円。月収が高いほど多くなる。
→ 詳しくは 再就職手当の完全ガイド
③ 傷病手当金(病気・ケガで働けず退職した場合)
体調不良・メンタル疾患・ケガが原因で働けず退職した場合、健康保険から最長1年6ヶ月間にわたって給付が受けられます。退職後も一定の条件を満たせば継続して受給でき、失業保険より長期間・高額になるケースも多いです。
もらえる金額
標準報酬月額の3分の2。月収30万円なら月約20万円。
もらえる期間
退職後も継続受給できる場合がある。失業保険との同時受給は不可。
→ 詳しくは 傷病手当金の完全ガイド
④ 教育訓練給付金(学び直し・資格取得の費用が最大70%戻る)
退職後に再就職へ向けてスクールや資格講座を受講した場合、受講費用の最大70%が給付されます。失業保険を受けながら使えるケースも多く、退職をキャリアの転機にしたい人は必ず確認してください。
一般教育訓練
上限10万円。TOEICや簿記など幅広い講座が対象。
専門実践教育訓練
上限56万円/年。看護・ITエンジニア・保育士など専門職系。
→ 詳しくは 教育訓練給付金の完全ガイド
⑤ 住民税・国民健康保険・年金の軽減
「もらえるお金」ではありませんが、退職後に重くのしかかる住民税・国民健康保険料・国民年金は申請で大きく減らせます。実質的に数万〜数十万円を取り戻すのと同じ効果があります。
国保の軽減
会社都合退職(特定受給資格者・特定理由離職者)は保険料が最大7割軽減。
国民年金の免除
失業を理由に申請すれば保険料の納付が免除・猶予される。
→ 詳しくは 住民税・国保の軽減ガイド / 健康保険の切り替え / 国民年金の切り替え
⑥ 退職金・企業年金(DC・iDeCo)
会社に退職金制度がある場合は退職金が支払われます。退職金は「退職所得控除」により税負担が大きく軽くなる優遇があります。また企業型確定拠出年金(DC)やiDeCoに加入していた場合は、次の職場での継続やiDeCoへの移換が必要です(放置すると自動移換で手数料が発生します)。
→ 詳しくは 退職金・確定拠出年金の完全ガイド / 退職した年の確定申告
⑦ 育児・介護で退職する場合の給付金
出産・育児・家族の介護を理由に離職する場合、まず退職せず「休業給付」を受けられないかを検討するのが得策です。育児休業給付金・介護休業給付金は賃金の最大67%が支給されます。やむを得ず退職する場合も、失業保険の受給期間延長(最大4年)を申請しておきましょう。
→ 詳しくは 育児・介護退職の給付金ガイド
退職後の手続きを進める順番
もらえるお金には申請先も期限もバラバラです。次の順番で動くと取りこぼしを防げます。
STEP 2(離職票が届いたら): ハローワークで失業保険の求職申し込み。離職理由を必ず確認。
STEP 3(受給中): 教育訓練給付金の活用、再就職が決まれば再就職手当を申請。
STEP 4(翌年): 退職した年の確定申告で払い過ぎた税金を取り戻す。
退職後にもらえるお金 比較一覧
| お金の種類 | 金額目安 | 対象者 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 失業保険(基本手当) | 月15〜20万円×90〜330日 | 雇用保険加入者全員 | ハローワーク |
| 再就職手当 | 残日数×日額×60〜70% | 給付日数1/3以上残し再就職した人 | ハローワーク |
| 傷病手当金 | 月収の約2/3×最長1.5年 | 病気・ケガで働けない人 | 健康保険組合 |
| 教育訓練給付金 | 受講費の20〜70% | 対象講座の受講者 | ハローワーク |
| 住民税・国保軽減 | 年数万〜数十万円 | 低所得・会社都合退職者 | 市区町村 |
| 育児・介護給付金 | 賃金の最大67% | 育児・介護で休業/退職する人 | ハローワーク |
| 退職金・企業年金 | 会社規定による | 退職金制度のある会社の社員 | 会社・運営管理機関 |