🏥 病気・ケガで退職した方へ

傷病手当金 完全ガイド

退職後も最長1年6ヶ月、在職中の賃金の3分の2を受給できます。申請要件・手続きを丁寧に解説。

📋 このページの目次

  1. 傷病手当金とは
  2. 受給条件
  3. 受給額の計算方法
  4. 退職後の継続受給
  5. 申請手続きの流れ
  6. メンタルヘルス・うつ病での利用
  7. よくある質問

傷病手当金とは

傷病手当金は、健康保険に加入している労働者が業務外の病気やケガで働けなくなった場合に、生活を支えるために支給される給付金です。公的医療保険(健康保険・協会けんぽ・健保組合)の制度で、雇用保険(失業保険)とは別の制度です。

最も重要な特徴は、退職後も要件を満たせば継続して受給できる点です。病気・ケガを理由に退職した場合でも、在職中に傷病手当金の受給要件を満たしていれば、退職後1年6ヶ月間(支給開始日から通算)受け続けることができます。

✅ 傷病手当金の3つの特徴:
① 在職中の賃金の約3分の2を受給できる
② 支給開始日から通算して最長1年6ヶ月受給できる
③ 退職後も継続受給できる(要件あり)

受給条件

条件内容
健康保険への加入協会けんぽ・健保組合などの健康保険に加入していること(国民健康保険は対象外)
業務外の病気・ケガ業務外の傷病で療養中であること(業務上・通勤災害は労災保険の対象)
就労不能の状態傷病のため今まで従事していた業務に就けない状態(医師の意見書が必要)
連続3日間の待期就労不能になった日から連続して3日間の待期期間が必要(有給・公休含む)
無給または低収入傷病手当金の額より多い給与の支払いがないこと

対象とならないケース

⚠️ 以下の場合は対象外です:
・国民健康保険(自営業・フリーランス等)に加入している場合
・業務上・通勤途中の病気・ケガ(労災保険の対象)
・就労可能な状態にある場合
・傷病手当金の額より多い給与が支払われている場合
・老齢・退職年金を受給している場合(金額によって調整)

受給額の計算方法

傷病手当金の1日あたりの金額は、以下の計算式で求められます。

傷病手当金の日額 = 支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 3分の2

受給額シミュレーション

月収(目安)標準報酬月額1日あたりの手当金月あたり(30日)
20万円20万円約4,444円約13.3万円
25万円26万円約5,777円約17.3万円
30万円30万円約6,666円約20.0万円
35万円36万円約8,000円約24.0万円
40万円41万円約9,111円約27.3万円

※標準報酬月額は実際の月収と異なる場合があります。目安としてご参照ください。

最長受給額のイメージ

月収30万円の方が1年6ヶ月(18ヶ月)フルで受給した場合:

約20万円 × 18ヶ月 = 約360万円

退職後の継続受給

傷病手当金は退職後も継続して受給できますが、以下の要件をすべて満たす必要があります。

退職後も継続受給するための3要件:
① 退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
② 退職日に傷病手当金を受給しているか、受給できる状態にあること
③ 退職後も引き続き働けない状態が続いていること
⚠️ 重要:退職日に出勤してしまうと「就労できる状態」とみなされ、その後の継続受給が認められない場合があります。退職日は有給休暇を取得するか、欠勤・休職のまま退職することが重要です。

失業保険との同時受給

傷病手当金と失業保険(基本手当)は原則として同時に受給できません。失業保険は「働ける状態なのに仕事がない」人が対象であり、傷病手当金は「働けない状態」の人が対象だからです。

体調が回復して働ける状態になったら、傷病手当金の受給を終えてからハローワークで失業保険の手続きをします。また、傷病手当金の受給期間中は「受給期間の延長」を申請することで、失業保険の受給期間を最大3年延長できます。

申請手続きの流れ

1

医師に診断書・意見書を依頼

かかりつけの医師(主治医)に就労不能である旨の意見書を書いてもらいます。傷病手当金申請書の「療養担当者記入欄」に記入してもらう形式です。

2

申請書の入手・記入

加入している健康保険組合または協会けんぽの窓口・ホームページから「傷病手当金支給申請書」を入手します。被保険者(本人)記入欄、事業主記入欄、療養担当者記入欄の3部構成です。

3

勤務先に事業主欄の記入を依頼

在職中の場合は、会社の人事・総務部門に申請書の「事業主証明欄」の記入を依頼します。退職後は不要な場合もあります(保険者によって異なります)。

4

健康保険組合・協会けんぽへ提出

書類がそろったら、加入している保険者(健康保険組合または協会けんぽ)に申請書を提出します。原則として1〜2ヶ月ごとに申請します。

5

審査・振り込み

審査を経て(通常2〜4週間)、支給決定通知が届き、指定口座に振り込まれます。

メンタルヘルス・うつ病での利用

近年、うつ病・適応障害・パニック障害などのメンタルヘルス不調による傷病手当金の申請が増加しています。身体的な病気・ケガと同様に、精神疾患による就労不能状態も傷病手当金の対象となります。

メンタル疾患で申請する際の注意点

メンタル疾患の場合も、医師(精神科・心療内科)の診断と就労不能の意見書が必要です。「診断書」と「傷病手当金申請書の意見書欄」は別物ですが、主治医に依頼する際に併せてお願いするとスムーズです。

また、申請時には「療養の経過」「就労できない理由」を具体的に記載してもらうことが支給承認の確率を高めます。主治医との信頼関係を築き、症状を正確に伝えることが大切です。

職場復帰・復職との関係

傷病手当金の受給中に短時間・軽作業での復職(試し出勤)をする場合は、保険者に確認が必要です。完全復職と段階的復職では取り扱いが異なります。主治医・会社・保険者と連携して進めましょう。

よくある質問

退職後に初めて傷病手当金を申請できますか?
退職後に新規申請することはできません。傷病手当金の継続受給は、退職前から受給中または受給できる状態(就労不能状態)にあったことが条件です。在職中に申請を開始しておく必要があります。
有給休暇を使っている間も受給できますか?
有給休暇中は会社から給与が支払われているため、傷病手当金は支給されません(または差額のみ支給)。有給休暇を消化した後から実質的な傷病手当金の受給が始まります。ただし待期期間の3日間は有給を充てることができます。
国民健康保険に切り替えた後も受給できますか?
退職後に国民健康保険に加入した場合でも、退職前の健康保険(協会けんぽ・健保組合)での継続受給要件を満たしていれば、退職前に加入していた保険制度から傷病手当金を受け取れます(任意継続不要)。
傷病手当金は課税されますか?
傷病手当金は非課税所得のため、所得税はかかりません。ただし、社会保険料(国民健康保険料・国民年金保険料)の算定基礎には含まれません。収入として確定申告は不要です。
1年6ヶ月経過後はどうなりますか?
支給開始日から通算1年6ヶ月が経過すると、傷病手当金の受給は終了します。その後も働けない状態が続く場合は、障害年金の申請(初診日から1年6ヶ月後に申請可能)や生活保護の検討など、他の支援制度を活用することになります。

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