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雇用保険の基本手当とは
雇用保険の基本手当(いわゆる「失業給付」「失業保険」)とは、雇用保険に加入していた労働者が離職し、積極的に求職活動をしているにもかかわらず就職できない状態にある期間、生活の安定と再就職を支援するために支給される給付金です。
転職活動中の方にとって、これは「転職の合間にもらえる最も大きな給付金」です。在職時の賃金の50〜80%が、最大で360日分支給されます。自己都合退職でも条件を満たせば受給できます。
失業保険の正式名称について
「失業保険」という言葉はよく使われますが、正確には「雇用保険の基本手当」が正式な名称です。雇用保険は失業給付以外にも、育児休業給付や教育訓練給付なども含む制度全体を指します。本ページでは一般的に広く使われている「失業給付」「失業保険」という言葉も併用しています。
転職活動と失業保険は両立できる
転職活動中でも、ハローワークに求職申込みをして「積極的に就職活動をしている」状態であれば、失業保険を受給しながら転職活動を続けることができます。これは非常に重要なポイントで、転職活動に専念するための生活費として活用できます。
ただし「すでに転職先が決まっている」「内定を受け取った」という状態では受給できません。また、在職中(退職前)には手続きができないため、退職後にハローワークへ行く必要があります。
受給条件・対象者
失業給付を受け取るためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
基本的な受給要件
在職中に雇用保険に加入していたこと(給与明細の「雇用保険料」で確認できます)。
② 一定期間以上加入していた
原則として、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上あること。会社都合退職・特定理由離職者の場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上でOK。
③ 失業の状態にある
就職する意思と能力があるにもかかわらず、現在就職していない状態。
④ 積極的に求職活動をしている
ハローワークに求職申込みをし、求職活動の実績を4週間ごとに報告していること。
雇用形態別の注意点
| 雇用形態 | 受給の可否 | 条件 |
|---|---|---|
| 正社員(自己都合) | ○ 受給可 | 離職前2年間で12ヶ月以上加入 |
| 正社員(会社都合・解雇) | ○ 受給可 | 離職前1年間で6ヶ月以上加入 |
| 契約社員・派遣社員 | ○ 受給可 | 週20時間以上勤務で同条件 |
| パート・アルバイト | △ 条件次第 | 週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあった場合 |
| 個人事業主・フリーランス | × 受給不可 | 雇用保険に加入できないため |
給付制限(自己都合退職の場合)
自己都合退職の場合、ハローワークへの申請から2ヶ月間(5年のうち2回目は3ヶ月)は「給付制限期間」として失業給付を受け取れない期間があります。この期間中も求職活動を続けることが大切です。
一方、会社都合退職(解雇・リストラ)や特定の理由による退職(ハラスメント・育児・介護など)の場合は、給付制限期間なしに受給が始まります。
受給額の計算方法
失業給付の1日あたりの金額を「基本手当日額」と呼びます。これは離職前6ヶ月間の平均賃金(賃金日額)をもとに計算されます。
賃金日額の計算
賃金日額 = 離職前6ヶ月間の賃金総額(賞与等を除く) ÷ 180
基本手当日額の計算
賃金日額に給付率(50〜80%)をかけたものが基本手当日額です。給付率は賃金日額が低いほど高く(最大80%)、高いほど低く(最低50%)なる仕組みです。
| 賃金日額(目安) | 月収換算(目安) | 給付率 |
|---|---|---|
| 5,110円以下 | 約15万円以下 | 80% |
| 5,110〜12,580円 | 約15〜38万円 | 80〜50%(逓減) |
| 12,580円超 | 約38万円超 | 50% |
上限額(2024年度)
| 年齢 | 基本手当日額の上限 | 月換算(30日) |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 6,945円 | 約20.8万円 |
| 30〜44歳 | 7,715円 | 約23.1万円 |
| 45〜59歳 | 8,490円 | 約25.5万円 |
| 60〜64歳 | 7,294円 | 約21.9万円 |
賃金日額 = 30万円 ÷ 30日 = 10,000円
給付率 ≒ 65%(逓減計算)
基本手当日額 ≒ 6,500円
月あたりの受給額 ≒ 6,500円 × 30日 = 約19.5万円
給付日数の一覧
給付日数は、退職理由・年齢・雇用保険の加入期間によって決まります。
自己都合退職の場合
| 加入期間 | 全年齢共通 |
|---|---|
| 1年未満 | 給付なし(12ヶ月未満のため) |
| 1〜10年未満 | 90日 |
| 10〜20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職(特定受給資格者)の場合
| 加入期間 | 30歳未満 | 30〜44歳 | 45〜59歳 | 60〜64歳 |
|---|---|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
| 1〜5年 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
| 5〜10年 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
| 10〜20年 | 180日 | 240日 | 240日 | 180日 |
| 20年以上 | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
手続きの流れ
離職票を受け取る
退職後10〜14日を目安に会社から「離職票-1」「離職票-2」が郵送されます。届かない場合は会社の人事部門に催促しましょう。離職票は失業給付の手続きに必須の書類です。
ハローワークで求職申込み・受給資格の申請
住所地を管轄するハローワークへ。持参するもの:離職票-1・2、マイナンバーカード(または通知カード+身分証)、証明写真2枚(3cm×2.5cm)、印鑑、本人名義の預金通帳。
待機期間(7日間)
申請後の7日間は「待機期間」として給付が発生しません。この期間は就労できません。自己都合退職の場合はここからさらに2ヶ月の給付制限期間があります。
雇用保険説明会への参加
ハローワークから指定された日時に説明会(約2時間)に参加します。受給中のルール・求職活動の進め方などを学びます。オンライン実施のハローワークもあります。
求職活動・認定日ごとに受給
4週間に1度の認定日にハローワークを訪問し、求職活動の実績(求人への応募・ハローワークでの相談など)を報告します。認定されると約1週間後に指定口座に振り込まれます。
就職決定・再就職手当の申請
転職先が決まったら、速やかにハローワークに就職の届け出をします。給付日数が3分の1以上残っていれば「再就職手当」が受け取れます。
転職者が知っておくべきポイント
受給期間の延長制度
病気・ケガ・妊娠・出産・育児などですぐに働けない場合、受給期間を最大3年延長できます(原則1年+3年=最大4年)。延長の申請はハローワークで行います。
アルバイトをしながらの受給
受給中にアルバイト・パートをすることは可能ですが、週20時間以上または1日4時間以上働くと「就労」とみなされ、その日は給付が発生しません(減額または不支給)。少額の短期バイトは申告すれば可能なケースがあります。必ずハローワークに申告しましょう。
健康保険・年金の手続き
退職後は会社の健康保険から外れるため、「国民健康保険への加入」または「前職の健康保険の任意継続」を選択する必要があります。保険料の比較をしてから選びましょう。会社都合退職の場合は国保が最大7割軽減されるケースがあります(住民税・国保軽減ガイドへ)。
確定申告について
失業給付(基本手当)は非課税のため、確定申告は不要です。ただし、年途中で退職して年末調整を受けていない場合は、翌年の確定申告で源泉徴収された所得税が還付される可能性があります。
転職活動と受給の両立のコツ
認定を受けるには4週間に2回以上の求職活動実績が必要です(ハローワークによって異なる場合あり)。求人への応募、ハローワークでの職業相談、就職セミナーへの参加などが実績として認められます。転職エージェントへの登録も多くの場合実績として認められます。